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化けて出る
「いやーまさか死霊の相手までさせられるとはな」
「ほんと、出るなら出るって言っといてもらわないと。ところで上乗せされた分の報酬見た?」
「ああ……いくらなんでも少なすぎだよな。桁を見間違えてるのかと思ったぜ」
「割に合わない仕事ってまさにこのことだよね」
「教会騎士はこれを毎日毎日タダでやってるんだろ? 正気とは思えないね」
「そこはほら、あっちは普段から寄付で結構がっぽり貰ってるらしいから」
「それとは別に戦闘ごとの手当てくらいないと、俺だったらやる気出ないがな」
「どっちかって言ったら同感だけど、そこは傭兵と騎士の違いなんでしょ」
「別世界の住人ってやつか……。しかしまあ、騎士はともかく死霊になるのだけは勘弁だな」
「誰だってそう」
「人を襲ったって何かを奪えるわけでもねぇ、敵を倒してもどこからも報酬なんか出ねぇ、永遠にタダ働きなんて最悪だ」
「ごめん、その理由は全然わかんないわ。あんた、死霊を仕事みたいなものだと思ってない?」
「じゃあ他にどんな理由があるんだよ?」
「いや、普通に手当たり次第人に襲いかかるのも嫌だし、あんな骸骨丸出しの見た目で延々彷徨うことになるのも嫌だし……」
「聞いた話じゃ強い死霊はほぼ生きてる時の姿のままらしいぞ。さらにすごいのになると謎の全身鎧に包まれて出てくるとか……」
「どうせ酒場の噂話でしょ、それ。だいたいそれが本当でも私たちみたいなのはみんなただの骸骨だよ」
「だろうな……じゃあもし俺がやられたら、死霊のお仲間になる前にすぐ焼いてくれよ」
「うん、良い魔晶石でパーっと一気に消し飛ばしてもらえるようにしとく」
「いや、なにも火力を強くする必要は……」
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