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出身はどこ?

「なあ、聞いたか? 八番街の訓練所でまた死人が出たって」
「また? あそこも相変わらずだね」
「街に出てきて人生これからって時にひでー話だ」
「かわいそうに。訓練で死ぬようじゃ正式に傭兵になってもどのみちって感じもするけど」
「俺たちも偉そうに言えるほどの腕じゃないけどな」
「でも私たちはちゃんと訓練所を出て、そこそこ働いて生き残ってるわけだし」
「まあ、そうか。そういやお前はどこで訓練受けたんだ?」
「八番街だけど」
「えっ、マジか!?」
「マジだよ。傭兵やっていくならそこが一番良いって知り合いから言われてね」
「その知り合い、たぶんお前のこと大嫌いだったんだろうな……」
「ちょっと! そんなことないから。その人も八番街出身の傭兵だったし」
「恐ろしい話だな。じゃあお前も例の鬼教官にボロ雑巾みたいにされたのか?」
「まあ、何度か殺されかけはしたよね。私の時は同期もみんな生きて認定試験まで行けたけど……思い出したら気分悪くなってきた」
「うへぇ……」
「他ではそんな大変じゃないって後から聞いてびっくりしたんだから。あんたはどこだったの?」
「きゅ、九番街……」
「……一番“優しい”とこね」
「ははは……いや〜毎日通い詰めたあの一年が懐かしいなぁ」
「え、一年も? 訓練に一年!?」
「言っとくけど怠けてたわけじゃないからな。そういう訓練計画なんだ」
「嘘でしょ……私たちは一ヶ月半……」
「……そら死人も出るよな」

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